あいぱす!

あいぱす!

学習支援ソフト「あいぱす!」の紹介と、その他もろもろのブログです。

建設業経理士2級:一連の流れを知るの巻

f:id:ipassdegoukaku:20191112100920j:plain

 

今週金曜日(11月15日)より、第27回建設業経理検定試験の申し込み受付が始まります。
受験を考えておられる方は、うっかり忘れないようにお気をつけください。

 

さて当ブログでは、これの2級を受験される方向けに、ワンポイント講座を綴ってまいりたいと思います。

 

第1回目の本日は、「一連の流れを知る」です。

 

簿記の基本。全体の流れを知る。

「簿記」という一連の手続きを学ぶ上で、個々の詳細を知る前に、全体の流れを知っておくことは非常に重要です。
これは、建設業経理士だけでなく、日商簿記などの全ての簿記試験における鉄則とも言えるものです。

 

まずは、以下の流れを押さえておきましょう。

 

< 日々の業務 >
①取引発生
②仕訳して「仕訳帳」に記録
③「仕訳帳」から「総勘定元帳」に転記

 

< 月末にすること >
④「試算表」を作成し、記録に誤りがないかチェックする

 

< 期末(決算)にすること >
⑤決算整理事項を処理し、「精算表」を作成する
⑥「貸借対照表」「損益計算書」を作成する
⑦帳簿を締め切り、次期に繰り越す

 

以上が基本的な簿記の流れです。

 

これに加えて、建設業経理士(工業簿記)の場合は、日々の業務として「材料元帳」を作成することや、月末の業務として「部門費振替表」や「工事原価報告書」などを作成することになります。

 

では、それぞれについて簡単に説明してまいりましょう。

 

①取引発生

一般的な「取引」が意味する事柄と、簿記上の「取引」とは少し意味が違っています。

簿記で扱う「取引」とは、あくまでも、「資産、負債、純資産(資本)のいずれかが、増減する取引」のことです。

 

したがって、「契約書にサインした」という行動は一般的には「取引」と言われるものですが、簿記的には「取引」ではありません。

 

しかし、「契約書にサインし、手付金として現金100円を支払った。」となると、『現金』という資産が減っていますので、簿記上の取引となり、

 

   前渡金 100 / 現金 100

 

と仕訳され、帳簿に記録されることになります。

 

②仕訳して「仕訳帳」に記録

仕訳については、当ブログの「これで完璧!仕訳のいろは。」をご覧ください。

 

③「仕訳帳」から「総勘定元帳」に転記

日々の取引は仕訳され、「仕訳帳」に記録されます。
これは、取引を日付順にまとめたものです。

 

しかしこのままでは、決算時にうまく集計できないので、勘定科目別に集計しなおす必要があります。

 

この、「勘定科目別の集計」を記録するものが「総勘定元帳」というわけですね。

 

「仕訳帳」に記録された日付毎の記録を、「総勘定元帳」へと勘定科目別に書き写す。
この作業を「転記」といいます。

 

こうすることによって、決算時に損益を計算することができるわけです。

 

④「試算表」を作成し、記録に誤りがないかチェックする

「転記」は、ミスしやすい作業です。

そこで間違いがないかチェックするために「試算表」が作られます。

 

試算表には、「合計試算表」「残高試算表」「合計残高試算表」と3種類あります。

 

日商簿記3級では、これを作成する問題が出題されます。

 

建設業経理士2級では、試算表を与えられたうえで、貸借対照表損益計算書を作成する問題が出題されます。

 

⑤決算整理事項を処理し、「精算表」を作成する

建設業経理士2級の試験で最も重要なポイントとなるのが、ここです。

毎回必ず、この問題が出題されます。

 

「精算表」を作るときにミスしやすいのが、借方と貸方を書き間違えることです。

 

決算整理事項について、正確な仕訳をしたにもかかわらず、何故か貸借の数字が一致せず、仕訳が間違っているのかと不安になることがあります。

 

もちろんその場合もありますが、うっかりしやすいのが、単なる書き間違いです。

 

対策としても「注意しましょう」というしかないのですが、繰り返し過去問を解くなどして、精算表そのものに慣れておくことは絶対に必要です。

 

簿記学習の鉄則は、「習うより慣れよ」です。

 

⑥「貸借対照表」「損益計算書」を作成する

精算表が正確に作成できれば、おのずと「貸借対照表」「損益計算書」も正確に仕上がります。

 

しかしここでも、「書き間違い」のミスには注意が必要です。

 

⑦帳簿を締め切り、次期に繰り越す

ちょっと思い出して頂きたいのですが、勘定科目には5つの種類がありました。


資産負債純資産(資本)費用収益の5つですね。

 

このうち、費用収益は、損益計算書に記載されるものです。

 

そして、損益計算書は、「一定期間における損益をあらわす」ものでした。

 

「一定期間」とは、1つの会計期間ということですから、言い換えれば、「期末において、当期の損益をあらわす」のが損益計算書ということです。

 

何が言いたいかというと、「損益計算書は、期が代わるたびにゼロクリアしなければならない。」ということです。

 

あくまでも、「当期の」損益ですから、前期の数字が残っていてはいけないのです。
新しく期首を迎えた時、費用収益はゼロからスタートしなければならないのです。

 

一方、貸借対照表は、「ある時点における財政状態をあらわす」ものです。


資産負債純資産(資本)といった数字は、開業してから廃業するまで、ずっと繋がった数字でなければなりません。
どこかでゼロクリアしてはいけないのです。

 

したがって、

     → 期末にゼロクリアする作業が必要

  • 貸借対照表に記載される資産負債純資産(資本)について

     → 期末の数字を翌期首に繰り越す作業が必要

 

ということになります。

 

これらの作業のことを、「帳簿の締め切り」というわけですね。

 

帳簿を締め切り、期首を迎えたら、また①から日々の業務に戻ります。


簿記を学習する際には、こうした流れを意識するようにしましょう。

 


最後までご覧いただき、ありがとうございました。