建設業経理士2級の問題でよく出題されるものに、「社債」についての問題があります。
なんとなく苦手意識を持っている方も多いかと思うこの問題、過去に出題されたものの類題を解いて、克服していきましょう。
<類題1>
A社は、償還期間5年の社債を発行し、その際に社債広告費¥25,000、社債印刷費¥50,000を支払った。
社債発行費について、制度上認められる最長の期間で繰延経理するとすれば、各年度の償却額は¥( )である。
<解答>
¥15,000
<解説>
制度上認められる最長の期間 = 償還期間 = 5年
(25,000+50,000)÷5 = 15,000
<類題2>
A社は、令和×2年4月1日に額面総額¥5,000,000(償還期限5年、利率年2%、利払日9月30日と3月31日の年2回)の社債を額面¥100につき¥98で発行し、全額の払込みを受けて当座預金とした。
この社債を償却原価法(定額法)により処理していた場合、令和×4年4月1日に社債¥2,500,000を額面¥100につき¥99で買入消却したときに計上される社債償還損の金額は¥( )である。
<解答>
¥5,000
<解説>
¥2,500,000を買入消却したときの問題なので、¥2,500,000についてのみ考えます。
発行価額 = 2,500,000×(98/100) = 2,450,000
額面との差額 = 2,500,000-2,450,000 = 50,000
2年分の増加額 = 50,000×(24ヶ月/60ヶ月) = 20,000
買入消却時の帳簿価額 = 2,450,000+20,000 = 2,470,000
買入消却額 = 2,500,000×(99/100) = 2,475,000
¥2,470,000を買うために、¥2,475,000払っているので、¥5,000の償還損です。
<類題3>
5月31日に、額面総額¥1,000,000の社債(償還期間5年、利率年0.5%、利払日3月31日・9月30日の年2回)を額面¥100につき¥98で買い入れ、その代金は、端数利息とともに小切手を振り出して支払った。
端数利息を求め、適切な仕訳を示しなさい。
なお、計算過程で端数が生じた場合は、小数点以下を切り捨てるものとする。
<解答>
投資有価証券 980,000 / 当座預金 980,835
有価証券利息 835 /
<解説>
図より、61日分の端数利息が発生しています。
端数利息 = 年利の61日分 = 1,000,000×0.5%×(61/365)=835
社債を買ったからといって、『社債』勘定を使ってはいけません。
『社債』勘定は、負債系統の勘定科目です。
<類題4>
期首に償還期限3年の社債を発行した。
社債発行に係る費用¥150,000については小切手を振り出して支払い、繰延経理することとした。
社債発行時及び当期の決算における社債発行費に係る仕訳を示しなさい。
<解答>
社債発行費 150,000 / 当座預金 150,000
社債発行費償却 50,000 / 社債発行費 50,000
<類題5>
前期の期首に社債券面総額¥30,000(償還期限5年)を額面¥100につき¥97で発行し、そのうち¥5,000を当期の期末に額面¥100につき¥101で買入償還した。
この買入償還による社債償還損は¥( )である。
なお、社債発行差金は償還期間にわたり定額法により償却している。
<解答>
¥140
<解説>
買入償還したのは¥5,000なので、これについてのみ考えます。
発行価額 = 5,000×(97/100) = 4,850
毎年の償却額 = (5,000-4,850)÷5 = 30
買入償還時の簿価 = 4,850+(30×2) = 4,910
買入償還額 = 5,000×(101/100) = 5,050
¥4,910のものを、¥5,050で買ったので、¥140の損となります。
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