仕訳を制するものは簿記を制する
ということで、今日からしばらく「よく出題される仕訳問題」を綴ってまいります。
<問題1:工事進行基準>
前期首に、請負金額¥3,000,000の工事(工期3年)を請け負い、当初より工事進行基準を適用している。
この工事の工事原価総見積額は¥2,400,000である。
実際に計上された原価は前期が¥600,000、当期が¥1,200,000であった。
工事に着手する前に¥1,000,000を受け取っているものとして、当期の完成工事高及び完成工事原価に関する仕訳を示しなさい。
<解答>
未成工事受入金 250,000 / 完成工事高 1,500,000
完成工事未収入金 1,250,000 /
完成工事原価 1,200,000 / 未成工事支出金 1,200,000
<解説>
前期の工事進捗率 = 前期発生工事原価 ÷ 工事原価総見積額
= 600,000 ÷ 2,400,000
= 0.25
前期の完成工事高 = 請負金額 × 前期工事進捗率
= 3,000,000 × 0.25
= 750,000
未成工事受入金の残高 = 未成工事受入金 - 前期完成工事高
= 1,000,000 - 750,000
= 250,000
当期の工事進捗率 = (前期発生工事原価+当期発生工事原価)÷ 工事原価総見積額
= (600,000+1,200,000)÷ 2,400,000
= 0.75
当期の完成工事高 = 請負金額 × 当期工事進捗率 - 前期完成工事高
= 3,000,000 × 0.75 - 750,000
= 1,500,000
<問題2:値引返品割戻・割引>
工事未払金¥160,000について、決済日より早く現金で支払ったことにより、¥700の割引を受けた。
<解答>
工事未払金 160,000 / 現金 159,300
/ 仕入割引 700
<解説>
よく似た言葉で間違えやすいですので、注意しましょう。
値引、返品、割戻は、逆仕訳で処理します。
割引は、『仕入割引』勘定で処理します。
<問題3:当座借越>
工事未払金¥70,000の支払いのため、小切手を振り出した。
当座預金残高は¥40,000であるが、取引銀行と借越限度額¥1,000,000の当座借越契約を締結している。
<解答>
工事未払金 70,000 / 当座預金 40,000
/ 当座借越 30,000
<解説>
当座預金の不足分は、『当座借越』勘定で処理します。
<問題4:収益の繰延>
8月1日に土地を賃貸し、1年分の賃貸料¥2,400,000を小切手で受け取った。
その際、全額を収益に計上していたので、3月末の決算にあたり必要な整理仕訳を行う。
<解答>
受取地代 800,000 / 前受地代 800,000
<解説>
1年分で¥2,400,000ということは、
1ヶ月あたり¥200,000です。
「全額を収益に計上していた」ということは、
現金 2,400,000 / 受取地代 2,400,000
と仕訳していたということです。
しかし実際には、8月1日~3月31日までの8ヶ月分だけが当期の収益ですので、
残りの4ヶ月分は次期の収益となるよう繰延処理をします。
<問題5:退職給付引当金の繰入>
決算にあたり、退職給付引当金¥900,000(直接作業員分¥700,000、事務員分¥200,000)を計上した。
<解答>
未成工事支出金 700,000 / 退職給付引当金 900,000
販売費及び一般管理費 200,000 /
<解説>
作業員分については『未成工事支出金』勘定。
事務真分については『販売費及び一般管理費』勘定で処理します。
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