建設業経理士2級:よくある仕訳問題その13
今日の問題は以下の5問。
<問題1:有価証券の売買>
かねて取引があったA社との関係をより強化するため、A社の株式1,000株を1株あたり¥500で購入した。
この代金は手数料¥50,000と合わせて小切手を振り出して支払った。
<解答>
投資有価証券 550,000 / 当座預金 550,000
<解説>
手数料は取得原価に含めます。
取得原価 = 1,000株 × @¥500 + 手数料¥50,000
= 550,000
<問題2:利益処分>
株主総会にて、以下の利益処分が決定した。
- 株主配当金 ¥300,000
- 利益準備金 ¥?
- 別途積立金 ¥200,000
なお、当社の資本金は¥500,000、資本準備金は¥25,000、利益準備金は¥15,000である。
<解答>
繰越利益剰余金 530,000 / 未払配当金 300,000
/ 利益準備金 30,000
/ 別途積立金 200,000
<解説>
利益準備金の積立額は、
の、どちらか少ない方です。
1の式 = 500,000 ÷ 4 -(25,000+15,000)
= 85,000
2の式 = 300,000 ÷ 10
= 30,000
従って、利益準備金には¥30,000を積み立てます。
なお、株主配当金は、『未払配当金』勘定で処理します。
<問題3:貸倒引当金>
2期前に引き渡した工事の代金¥300,000が未収であったが、当期に回収不能となった。
また、当期首に引き渡した工事の代金¥500,000についても回収不能となることが確定した。
前期決算にて、貸倒引当金¥400,000を計上している。
<解答>
貸倒引当金 300,000 / 完成工事未収入金 800,000
貸倒損失 500,000 /
<解説>
貸倒引当金を取り崩すことができるのは、それが計上された時点で発生していた債権に対してのみです。
本問の場合、いくら貸倒引当金に計上していようと、当期首に発生した債権¥500,000に対しては充当できません。
<問題4:工事進行基準>
請負金額¥5,000,000、工期3年の工事を受注し、工事進行基準を適用している。
工事原価総額の見積額は、前期に受注した時点では¥2,500,000であったが、当期末には¥3,375,000となった。
前期の工事原価発生額は¥700,000であり、当期の工事原価発生額は¥2,000,000である。
当期の工事に関する仕訳を示しなさい。
<解答>
完成工事未収入金 2,600,000 / 完成工事高 2,600,000
完成工事原価 2,000,000 / 未成工事支出金 2,000,000
<解説>
前期工事進捗率 = 700,000 ÷ 2,500,000
= 0.28
前期完成工事高 = 5,000,000 × 0.28
= 1,400,000
当期工事進捗率 = (700,000+2,000,000)÷3,375,000
= 0.8
当期完成工事高 = 5,000,000 × 0.8 - 1,400,000
= 2,600,000
<問題5:裏書手形>
工事未払金¥500,000を支払うため、手持ちの為替手形¥300,000を裏書譲渡し、残額については約束手形を振り出した。
なお、遡求義務については対照勘定を用いるものとする。
<解答>
工事未払金 500,000 / 受取手形 300,000
/ 支払手形 200,000
手形裏書義務見返 300,000 / 手形裏書義務 300,000
<解説>
まず、工事未払金を支払ったので、
工事未払金 500,000 /
「為替手形を裏書譲渡した」ということは、以前に受け取った手形『受取手形』を渡したということなので、
工事未払金 500,000 / 受取手形 300,000
残額は約束手形を振り出したということなので、
工事未払金 500,000 / 受取手形 300,000
/ 支払手形 200,000
遡求義務については対照勘定を用いるということなので、
工事未払金 500,000 / 受取手形 300,000
/ 支払手形 200,000
手形裏書義務見返 300,000 / 手形裏書義務 300,000
となります。
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