建設業経理士2級:よくある仕訳問題その17
さて、今日の問題は以下の5問。
<問題1:建設中の固定資産>
自社倉庫を建設中であるが、発生した費用¥300,000について、誤って受注工事と同様の処理を行っていた。
決算にあたり修正仕訳をする。
<解答>
建設仮勘定 300,000 / 未成工事支出金 300,000
<解説>
建設中の固定資産に係る費用は、『建設仮勘定』で処理します。
「受注工事と同様の処理」ということは、『未成工事支出金』勘定で処理していたということなので、振り替えて修正します。
<問題2:値引返品割戻・割引>
工事未払金¥500,000について、支払期日前に小切手を振り出して支払い、¥5,000の割引を受けた。
<解答>
工事未払金 500,000 / 当座預金 495,000
/ 仕入割引 5,000
<解説>
値引、返品、割戻は、逆仕訳。
割引は『仕入割引』勘定で処理します。
<問題3:預り金>
当月、現場作業員の賃金¥1,000,000について、源泉所得税¥40,000、社会保険料の作業員負担分¥20,000を差し引いた残額を現金で支払った。
<解答>
未成工事支出金 1,000,000 / 預り金 60,000
/ 現金 940,000
<解説>
本試験では、与えられた勘定科目群に注意しましょう。
『未成工事支出金』は、『賃金』や『労務費』となる場合があります。
『預り金』は、『所得税預り金』や『社会保険料預り金』と分割する場合があります。
<問題4:工事進行基準>
前期に着工したA工事は、工事完成基準を適用していたが、当期より工事進行基準を適用することとなった。
この工事の工期は3年、請負金額¥5,000,000、工事原価の総見積額¥4,000,000、前期工事原価発生額¥1,000,000、当期工事原価発生額¥2,000,000である。
当期の完成工事高及び完成工事原価に関する仕訳を示しなさい。
<解答>
完成工事未収入金 3,750,000 / 完成工事高 3,750,000
完成工事原価 3,000,000 / 未成工事支出金 3,000,000
<解説>
当期工事進捗率 = (1,000,000+2,000,000)÷4,000,000
= 0.75
当期完成工事高 = 5,000,000 × 0.75
= 3,750,000
当期完成工事原価 = 1,000,000 + 2,000,000
= 3,000,000
<問題5:手形の割引>
資金調達のため、手持ちの約束手形¥300,000を銀行で割り引き、割引料¥3,000を差し引いた残額を当座預金に入金した。
遡求義務については評価勘定を用いるものとする。
<解答>
当座預金 297,000 / 割引手形 300,000
手形売却損 3,000 /
<解説>
「手形を銀行で割り引いた」とは、銀行に手形を売却したということです。
従って、売却によって発生した損失は、『手形売却損』勘定で処理します。
また、遡求義務を対照勘定で処理する場合は、
当座預金 297,000 / 受取手形 300,000
手形売却損 3,000 /
手形割引義務見返 300,000 / 手形割引義務 300,000
となります。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
お時間ございましたら、是非ホームページもご覧ください。