建設業経理士2級:よくある仕訳問題その18
今日の問題はこちらの5問+おまけの1問。
<問題1:有価証券の評価損益>
当期中にA社株式を売買目的で1,000株、単価¥500で購入し、その際の手数料は¥3,000であった。
この株式の当期末の時価は1株あたり¥480となっていた。
期末の仕訳を示しなさい。
<解答>
有価証券評価損 23,000 / 有価証券 23,000
<解説>
購入時の簿価 = 1,000株 × @¥500 + ¥3,000
= ¥503,000
期末時の簿価 = 1,000株 × @¥480
= ¥480,000
差額(評価損) = 503,000 - 480,000
= 23,000
<問題2:支払手形?営業外支払手形?>
当期着工したA工事のために、新たに機械装置を購入した。
その代金¥500,000は約束手形を振り出して支払い、引取運賃¥50,000については現金で支払った。
なお、この機械装置はA工事完成後も他の工事で使用されるものである。
<解答>
機械装置 550,000 / 営業外支払手形 500,000
/ 現金 50,000
<解説>
もし、この機械装置がA工事のみで使用されるものであれば、A工事用の資材を購入したと同じですので、その取得原価はA工事の工事原価に含まれます。
従って、この場合の仕訳は、『支払手形』勘定で処理します。
本問の場合、この機械装置は他の工事でも流用されるものですので、事務用の備品等を購入した場合と同じ処理になります。
従って、『営業外支払手形』勘定で処理します。
<問題3:すくい出し方式>
当社では、仮設材料の消費分について、すくい出し方式によって処理している。
A工事が完了し、倉庫に戻された仮設材料の評価額は¥200,000であった。
<解答>
材料貯蔵品 200,000 / 未成工事支出金 200,000
<解説>
「すくい出し方式」とは、いったん全ての材料を工事原価(未成工事支出金勘定)に計上しておいて、残った分を資産(材料貯蔵品勘定)に振り替える方式です。
本問の場合、¥200,000が戻ってきたわけですから、この分を『未成工事支出金』勘定から『材料貯蔵品』勘定へと振り替えます。
なお、『材料貯蔵品』勘定と『材料』勘定に区別はありません。
本試験では、与えられた勘定科目群に注意してください。
<問題4:貸倒引当金>
前期決算にて、完成工事未収入金¥500,000に対して60%の貸倒引当金を設定していたところ、当期において¥300,000が当座預金に振り込まれ、残額は貸し倒れとなった。
<解答>
当座預金 300,000 / 完成工事未収入金 500,000
貸倒引当金 300,000 / 貸倒引当金戻入 100,000
<解説>
貸倒引当金設定額 = 500,000 × 60%
= 300,000
貸し倒れた金額 = 500,000 - 300,000
= 200,000
¥300,000の設定に対して、¥200,000の貸倒れなので、差額の¥100,000を戻し入れます。
<問題5:株式の発行>
1株あたり¥1,000で、2,000株を発行することとし、株主を募集したところ、払込期日までに全額が取引銀行に払い込まれた。
<解答>
別段預金 2,000,000 / 新株式申込証拠金 2,000,000
<解説>
払い込まれたお金は、新たな株式の購入申し込みをしたという証拠となるお金ですので、『新株式申込証拠金』勘定で処理します。
また、実際に株式を発行するまでは、返却する可能性がありますので、『別段預金』勘定で処理します。
<おまけの問題>
問題5の株式について、払込期日を迎えた。
別段預金は当座預金とし、払込金額のうち、会社法で認められる最低限度額を資本金とすることとした。
<解答>
新株式申込証拠金 2,000,000 / 資本金 1,000,000
/ 株式払込剰余金 1,000,000
当座預金 2,000,000 / 別段預金 2,000,000
<解説>
払込期日を迎え、実際に株式を発行したら、『新株式申込証拠金』と『別段預金』を適切な勘定科目に振り替えます。
『新株式申込証拠金』は、原則として全て『資本金』に振り替えられますが、会社法では、最低半分を振り替えれば良いということになっています。
この場合、『資本金』とならなかった分は、『株式払込剰余金』勘定で処理します。
『別段預金』は、問題文の指示により、『当座預金』に振り替えます。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
お時間ございましたら、是非ホームページもご覧ください。