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建設業経理士2級:精算表対策その4

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今日の問題はこちら。

 

<問題>

下記の<決算整理事項>について、その仕訳を示すとともに、仕訳に使用した勘定科目のホームポジションも答えなさい。

なお、工事原価は未成工事支出金を経由して処理する方法によっており、会計期間は1年である。

 

<決算整理事項>

(1)現金の期末実際有高は¥91,635であるが、現金預金の帳簿残高は¥93,700となっている。この現金過不足の発生原因は不明である。

 

(2)受取手形¥387,500のうち、¥7,000が不渡りとなった。当該不渡りとなった手形について、貸倒引当金を100%設定する。

 

(3)仮払金の期末残高¥62,500は、以下の内容であることが判明した。

  1. 保険会社に対して支払われた火災保険料前払分¥12,000
  2. 機械の補修を行った代金¥47,500。なお、当該機械に対しては前期末に修繕引当金を設定していたため、全額充当する。
  3. 事務用消耗品購入代金¥3,000

 

(4)仮受金¥9,000は、工事請負契約に基づく発注者からの入金額¥9,000(完成工事分)であることが判明した。

 

(5)(2)の不渡手形を除く売上債権の期末残高の2%について、差額補充法で貸倒引当金を計上する。なお、受取手形の期末残高は¥387,500、完成工事未収入金の期末残高は¥417,500であり、貸倒引当金の期末残高が¥10,000ある。

 

(6)減価償却

  1. 工事現場用:機械装置に対して¥62,500。ただし、月次で¥4,900の減価償却費を毎月計上しており、当期の予定計上額と実際発生額の差額を当期の工事原価(未成工事支出金)に加減する。
  2. 一般管理用:備品(取得原価¥190,000、残存価額ゼロ、耐用年数5年、定額法)

 

(7)退職給付引当金の当期繰入額は、本社事務員について¥39,000、現場作業員について¥81,000である。ただし、現場作業員の退職給付引当金については、月次で¥6,500を計上しており、当期の予定計上額と実際発生額の差額を当期の工事原価(未成工事支出金)に加減する。

 

(8)完成工事高¥2,905,000に対して0.1%の完成工事補償引当金を差額補充法で計上する。なお、完成工事補償引当金の期末残高は¥2,850である。

 

(9)未成工事支出金の期末残高は¥188,500であったが、上記の各調整を行った後、未成工事支出金の次期繰越額は¥192,500となった。残額を完成工事原価に振り替える。

 

(10)上記の決算整理事項により、税引前当期純利益¥37,750を計上した。当期の法人税、住民税及び事業税として税引前当期純利益の40%を計上する。

 

<解答と解説>

(1)
雑損失(PL借方)2,065 / 現金預金(BS借方)2,065

 

( )内はそれぞれのホームポジションを表し、BSは貸借対照表、PLは損益計算書を表しています。

 

決算を迎えてもまだ原因不明な損失については、『雑損失』勘定で処理します。

 

(2)
不渡手形(BS借方)7,000 / 受取手形BS借方)7,000
販売費及び一般管理費PL借方)7,000 / 貸倒引当金BS貸方)7,000

 

まず、受取手形から不渡手形へと、該当額を振り替えます。

 

次に、貸倒引当金を100%設定するということなので、同額を計上します。

 

(3)
前払保険料(BS借方)12,000 / 仮払金 12,000
修繕引当金BS貸方)47,500 / 仮払金 47,500
販売費及び一般管理費PL借方)3,000 / 仮払金 3,000

 

『仮払金』は、決算時には必ず残額を¥0にします。

もし決算整理をした後にまだ残っていたら、どこかを間違えているということです。
注意しましょう。

 

(4)
仮受金 9,000 / 完成工事未収入金(BS借方)9,000

 

『仮受金』は、決算時には必ず残額を¥0にします。

もし決算整理をした後にまだ残っていたら、どこかを間違えているということです。
注意しましょう。

 

(5)
販売費及び一般管理費PL借方)5,780 / 貸倒引当金BS貸方)5,780

 

(2)より、
受取手形の残高 = ¥387,500 - ¥7,000 = ¥380,500

 

(4)より、
完成工事未収入金の残高 = ¥417,500 - ¥9,000 = ¥408,500

 

従って、
売上債権の額 = ¥380,500 + ¥408,500 = ¥789,000

 

貸倒引当金計上額 = 売上債権の2%
         = ¥789,000 × 2%
         = ¥15,780

 

貸倒引当金の期末残高が¥10,000あるので、差額の¥5,780を追加計上します。

 

(6)
未成工事支出金(BS借方)3,700 / 機械装置減価償却累計額(BS貸方)3,700
販売費及び一般管理費PL借方)38,000 / 備品減価償却累計額(BS貸方)38,000

 

機械装置について。

 

月次で¥4,900を計上しているということは、すでに、
¥4,900 × 12ヶ月 = ¥58,800 が計上されているということです。

 

実際には、¥62,500を計上するということなので、差額の¥3,700を追加で計上します。

 

備品について。

 

減価償却費 = (取得原価-残存価額)÷耐用年数
      = ¥190,000 ÷ 5年
      = ¥38,000

 

(7)
販売費及び一般管理費PL借方)39,000 / 退職給付引当金BS貸方)39,000
未成工事支出金(BS借方)3,000 / 退職給付引当金BS貸方)3,000

 

本社事務員については、そのまんまです。

 

現場作業員について。

 

月次で¥6,500を計上しているということは、すでに、
¥6,500 × 12ヶ月 = ¥78,000 が計上されているということです。

 

実際には、¥81,000を計上するということなので、差額の¥3,000を追加で計上します。

 

(8)
未成工事支出金(BS借方)55 / 完成工事補償引当金BS貸方)55

 

完成工事補償引当金計上額 = ¥2,905,000 × 0.1%
             = ¥2,905

 

完成工事補償引当金として¥2,905を計上したい。残高は¥2,850である。

 

なので、差額の¥55を追加計上します。

 

(9)
完成工事原価(PL借方)2,755 / 未成工事支出金(BS借方)2,755

 

未成工事支出金の借方合計

 = 期末残高¥188,500+(6)より¥3,700+(7)より¥3,000+(8)より¥55
 = ¥195,255

 

未成工事支出金の貸方合計¥195,255

 = 完成工事原価振替額 + 次期繰越額¥192,500

 

完成工事原価振替額 = ¥2,755

 

(10)
法人税、住民税及び事業税(PL借方)15,100 / 未払法人税等(BS貸方)15,100

 

法人税、住民税及び事業税の計上額 = 税引前当期純利益 × 40%
                 = ¥37,750 × 40%
                 = ¥15,100

 

税額を計上しただけで、まだ実際には支払っていませんので、『未払法人税等』で処理します。

 

 

 


最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 

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