あいぱす!

あいぱす!

学習支援ソフト「あいぱす!」の紹介と、その他もろもろのブログです。

建設業経理士2級:精算表対策その5

f:id:ipassdegoukaku:20191112100920j:plain

 

今日の問題はこちら。

 

<問題>

下記の<決算整理事項>について、その仕訳を示すとともに、仕訳に使用した勘定科目のホームポジションも答えなさい。

なお、工事原価は未成工事支出金を経由して処理する方法によっており、会計期間は1年である。

 

<決算整理事項>

(1)当座預金について、帳簿残高は¥141,500となっているが、期末残高証明書を入手したところ、その残高は¥242,500であった。差額原因は、調査したところ以下のとおりであった。

①会社が契約している本社役員の当期の保険料¥19,000が引き落とされていたが、未処理であった。

②完成工事の工事代金¥120,000が期末に振り込まれていたが、発注者より連絡を受けていなかったため、未記帳であった。

 

(2)長期保有目的の株式の時価が著しく下落しており、¥102,500の評価損を計上する。

 

(3)売上債権の期末残高の2%について、差額補充法で貸倒引当金を計上する。なお、受取手形の期末残高は¥361,500、完成工事未収入金の期末残高は¥319,000であり、貸倒引当金の期末残高が¥9,000ある。

 

(4)期末材料の棚卸減耗¥3,900が発生した。全額工事原価として処理する。

 

(5)仮払金¥9,000は、本社従業員の出張旅費の仮払いであった。当該仮払金は旅費交通費に振り替える。

 

(6)減価償却

①工事用:機械装置の当期の減価償却費は¥53,250である。ただし、月次で¥4,400の減価償却費を予定計上しており、当期の予定計上額と実際発生額の差額を当期の工事原価(未成工事支出金)に加減する。

②一般管理部門用:備品(取得原価¥140,000、定額法、耐用年数5年、残存価額ゼロ)

 

(7)退職給付引当金の当期繰入額は、本部事務員について¥34,000、現場作業員について¥76,000である。ただし、現場作業員については月次で¥6,250の退職給付引当金繰入額を予定計上しており、当期の予定計上額と実際発生額の差額を当期の工事原価(未成工事支出金)に加減する。

 

(8)完成工事高¥2,975,000に対して0.1%の工事補償引当金を差額補充法で計上する。なお、完成工事補償引当金の期末残高は¥1,930である。

 

(9)未成工事支出金の期末残高は¥188,500であったが、上記の各調整を行った後、未成工事支出金の次期繰越額は¥192,500となった。残額を完成工事原価に振り替える。

 

(10)上記の決算整理事項により、税引前当期純利益¥76,735を計上した。当期の法人税、住民税及び事業税として税引前当期純利益の40%を計上する。

 

<解答と解説>

(1)
支払保険料(PL借方)19,000 / 当座預金BS借方)19,000
当座預金BS借方)120,000 / 完成工事未収入金(BS借方)120,000

 

( )内はそれぞれのホームポジションを表し、BSは貸借対照表、PLは損益計算書を表しています。

 

与えられた精算表に、『支払保険料』がない場合は、『販売費及び一般管理費』で処理します。

 

(2)
投資有価証券評価損(PL借方)102,500 / 投資有価証券(BS借方)102,500

 

(3)
販売費及び一般管理費PL借方)2,210 / 貸倒引当金BS貸方)2,210

 

(1)より、

完成工事未収入金の残高 = ¥319,000 - ¥120,000 = ¥199,000

 

従って、

売上債権の額 = ¥361,500 + ¥199,000 = ¥560,500

 

貸倒引当金計上額 = 売上債権の2%
         = ¥560,500 × 2%
         = ¥11,210

 

貸倒引当金の期末残高が¥9,000あるので、差額の¥2,210を追加計上します。

 

(4)
未成工事支出金(BS借方)3,900 / 材料貯蔵品(BS借方)3,900

 

(5)
旅費交通費(PL借方)9,000 / 仮払金 9,000

 

与えられた精算表に、『旅費交通費』がない場合は、『販売費及び一般管理費』で処理します。

 

また、『仮払金』は、決算時には必ず残額を¥0にします。

もし決算整理をした後にまだ残っていたら、どこかを間違えているということです。
注意しましょう。

 

(6)
未成工事支出金(BS借方)450 / 機械装置減価償却累計額(BS貸方)450
販売費及び一般管理費PL借方)28,000 / 備品減価償却累計額(BS貸方)28,000

 

機械装置について。

 

月次で¥4,400を計上しているということは、すでに、

¥4,400 × 12ヶ月 = ¥52,800 が計上されているということです。

 

実際には、¥53,250を計上するということなので、差額の¥450を追加で計上します。

 

備品について。

 

減価償却費 = (取得原価-残存価額)÷耐用年数
      = ¥140,000 ÷ 5年
      = ¥28,000

 

(7)
販売費及び一般管理費PL借方)34,000 / 退職給付引当金BS貸方)34,000
未成工事支出金(BS借方)1,000 / 退職給付引当金BS貸方)1,000

 

本部事務員については、そのまんまです。

 

現場作業員について。

 

月次で¥6,250を計上しているということは、すでに、

¥6,250 × 12ヶ月 = ¥75,000 が計上されているということです。

 

実際には、¥76,000を計上するということなので、差額の¥1,000を追加で計上します。

 

(8)
未成工事支出金(BS借方)1,045 / 完成工事補償引当金BS貸方)1,045

 

完成工事補償引当金計上額 = ¥2,975,000 × 0.1%
             = ¥2,975

 

完成工事補償引当金として¥2,975を計上したい。残高は¥1,930である。

 

なので、差額の¥1,045を追加計上します。

 

(9)
完成工事原価(PL借方)2,395 / 未成工事支出金(BS借方)2,395

 

未成工事支出金の借方合計

 = 期末残高¥188,500+(4)より¥3,900+(6)より¥450+(7)より¥1,000+(8)より¥1,045
 = ¥194,895

 

未成工事支出金の貸方合計¥194,895

 = 完成工事原価振替額 + 次期繰越額¥192,500

 

完成工事原価振替額 = ¥2,395


(10)
法人税、住民税及び事業税(PL借方)30,694 / 未払法人税等(BS貸方)30,694

 

法人税、住民税及び事業税の計上額 = 税引前当期純利益 × 40%
                 = ¥76,735 × 40%
                 = ¥30,694

 

税額を計上しただけで、まだ実際には支払っていませんので、『未払法人税等』で処理します。

 

 

 

 


最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 

少しでも不安が残るという方は、下記バナーをクリックして頂いて、

『あいぱす!建設業経理士2級編』をお試しください。

 

 

ダウンロードはもちろん無料。

ユーザー様よりライセンス購入希望のご連絡を頂かない限り、料金が発生することはありません。

 

あなたが目指す『合格』を確かなものにするために。

是非一度、手にとってみて下されば幸いです。