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建設業経理士2級:精算表対策その6

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今日の問題はこちら。

 

<問題>

下記の<決算整理事項>について、その仕訳を示すとともに、仕訳に使用した勘定科目のホームポジションも答えなさい。
なお、工事原価は未成工事支出金を経由して処理する方法によっており、会計期間は1年である。

 

<決算整理事項>

(1)受取手形¥227,000のうち¥12,500が不渡りとなった。この手形について貸倒引当金を80%設定する。

 

(2)(1)の不渡手形を除く売上債権の期末残高に対して、2%の貸倒引当金を差額補充法で計上する。なお、期末の受取手形借方残高は¥227,000、完成工事未収入金の借方残高は¥294,500、貸倒引当金の貸方残高は¥6,000である。

 

(3)期限の到来した公社債の利札¥400がある。

 

(4)材料の棚卸減耗¥3,250が発生した。当該減耗は管理上やむを得ない目減りによるものである。

 

(5)仮払金¥2,750は営業部門従業員の出張旅費と判明した。

 

(6)減価償却

①工事現場用:機械装置の当期の減価償却費は¥44,000である。ただし、月次で¥3,750の減価償却費を予定計上しており、当期の予定計上額と実際発生額の差額を当期の工事原価(未成工事支出金)に加減する。

②一般管理部門用:備品(取得原価¥140,000、耐用年数8年、残存価額ゼロ、定額法)

 

(7)退職給付引当金の当期繰入額は、本部事務員について¥36,000、現場作業員について¥149,000である。ただし、現場作業員については月次で¥12,500の退職給付引当金繰入額を予定計上しており、当期の予定計上額と実際発生額の差額を当期の工事原価(未成工事支出金)に加減する。

 

(8)完成工事高¥2,345,000に対して0.1%の完成工事補償引当金を差額補充法で計上する。なお、完成工事補償引当金の期末残高は¥1,225である。

 

(9)未成工事支出金の期末残高は¥107,500であったが、上記の各調整を行った後、次期繰越額は¥104,250となった。残額を完成工事原価に振り替える。

 

(10)上記の決算整理事項により、税引前当期純利益¥52,410を計上した。当期の法人税、住民税及び事業税として税引前当期純利益の40%を計上する。

 

<解答と解説>

(1)
不渡手形(BS借方)12,500 / 受取手形BS借方)12,500
販売費及び一般管理費PL借方)10,000 / 貸倒引当金BS貸方)10,000

 

( )内はそれぞれのホームポジションを表し、BSは貸借対照表、PLは損益計算書を表しています。

 

まず、受取手形から不渡手形へと、該当額を振り替えます。

 

次に、このうち80%の貸倒引当金を計上するということなので、

¥12,500 × 80% = ¥10,000 の貸倒引当金を計上します。

 

問題によっては、『販売費及び一般管理費』ではなく、『貸倒引当金繰入額』で仕訳する場合もあります。

 

どちらを使うかは、解答用紙を見て、精算表の勘定科目欄に『貸倒引当金繰入額』があればこれを使い、無ければ『販売費及び一般管理費』で仕訳すると判断しましょう。

 

(2)
販売費及び一般管理費PL借方)4,180 / 貸倒引当金BS貸方)4,180

 

売上債権の期末残高
 = 受取手形の残高 + 完成工事未収入金の残高
 = ¥227,000 - (1)の仕訳より¥12,500 + ¥294,500
 = ¥509,000

 

貸倒引当金計上額 = ¥509,000 × 2%
         = ¥10,180

 

貸倒引当金にはすでに¥6,000あって、これを¥10,180にするわけですから、差額の¥4,180を繰り入れます。

 

(1)と同じく、『販売費及び一般管理費』ではなく、『貸倒引当金繰入額』で仕訳する場合もありますので注意しましょう。

 

(3)
現金(BS借方)400 / 受取利息配当金(PL貸方)400

 

試験本番では、与えられた精算表をよく見て勘定科目を選びましょう。

 

(4)
未成工事支出金(BS借方)3,250 / 材料貯蔵品(BS借方)3,250

 

(5)
販売費及び一般管理費PL借方)2,750 / 仮払金 2,750

 

『仮払金』は、整理仕訳後には残高がゼロになり、BSやPLには記載されないことに注意しましょう。

もし、残高があれば、どこかを間違えています。

 

(6)
機械装置減価償却累計額(BS貸方)1,000 / 未成工事支出金(BS借方)1,000
販売費及び一般管理費PL借方)17,500 / 備品減価償却累計額(BS貸方)17,500

 

機械装置について。

月次で¥3,750を計上しているということは、すでに、
¥3,750 × 12ヶ月 = ¥45,000 が計上されているということです。

 

実際には、¥44,000を計上するということなので、差額の¥1,000を戻し入れます。

 

備品について。

減価償却費 = (期末残高-残存価額)÷耐用年数
      = ¥140,000 ÷ 8年
      = ¥17,500

 

(7)
販売費及び一般管理費PL借方)36,000 / 退職給付引当金BS貸方)36,000
退職給付引当金BS貸方)1,000 / 未成工事支出金(BS借方)1,000

 

本部事務員については、そのまんまです。

 

現場作業員について。

月次で¥12,500を計上しているということは、すでに、
¥12,500 × 12ヶ月 = ¥150,000 が計上されているということです。

 

実際には、¥149,000を計上するということなので、差額の¥1,000を戻し入れます。

 

問題によっては、『販売費及び一般管理費』や『未成工事支出金』ではなく、『退職給付費用』を使う場合もありますので注意しましょう。

 

(8)
未成工事支出金(BS借方)1,120 / 完成工事補償引当金BS貸方)1,120

 

完成工事補償引当金計上額 = ¥2,345,000 × 0.1%
             = ¥2,345

 

完成工事補償引当金として¥2,345を計上したい。残高が¥1,225ある。
なので、差額の¥1,120を追加計上します。


(9)
完成工事原価(PL借方)5,620 / 未成工事支出金(BS借方)5,620

 

未成工事支出金の借方合計
 = 期末残高¥107,500 + (4)より¥3,250 + (8)より¥1,120
 = ¥111,870

 

未成工事支出金の貸方合計¥111,870
 = 完成工事原価振替額 + (6)より¥1,000 + (7)より¥1,000 + 次期繰越額¥104,250

 

完成工事原価振替額 = ¥5,620


(10)
法人税、住民税及び事業税(PL借方)20,964 / 未払法人税等(BS貸方)20,964

 

法人税、住民税及び事業税の計上額 = 税引前当期純利益 × 40%
                 = ¥52,410 × 40%
                 = ¥20,964

 

税額を計上しただけで、まだ実際には支払っていませんので、『未払法人税等』で処理します。

 

 

 

 


最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 

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