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建設業経理士2級:精算表対策その11

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今日の問題はこちら。

 

<問題>

下記の<決算整理事項>について、その仕訳を示すとともに、仕訳に使用した勘定科目のホームポジションも答えなさい。

なお、工事原価は未成工事支出金を経由して処理する方法によっており、会計期間は1年である。

 

<決算整理事項>

(1)現金について、期末の帳簿残高は¥1,620であったが、期末実際有高は¥1,470であり、現金過不足の発生原因は不明である。

 

(2)材料貯蔵品の期末棚卸により判明した棚卸減耗¥32,500を、工事原価に算入する。

 

(3)仮払金の期末残高¥37,250は、以下の内容であることが判明した。

①¥9,000は借入金利息の3か月分であり、うち1か月分は前払いである。

②¥28,250は法人税等の中間納付額である。

 

(4)減価償却については、以下のとおりである。なお、当期中に固定資産の増減取引は発生していない。

①機械装置(工事現場用)実際発生額¥52,500。なお、月次原価計算において、月額¥4,300を未成工事支出金に予定計上しており、当期の予定計上額と実際発生額との差額は当期の工事原価(未成工事支出金)に加減する。

②備品(本社用)次の条件により減価償却費を計上する。取得原価¥37,800、残存価額ゼロ、耐用年数6年、減価償却方法 定額法。

 

(5)完成工事に係る仮設撤去費の未払分¥32,500を計上する。

 

(6)仮受金の期末残高¥97,500は、以下の内容であることが判明した。

①¥37,500は完成工事の未収代金回収分である。

②¥60,000は工事契約による前受金である。

 

(7)売上債権の期末残高に対して、2%の貸倒引当金を差額補充法で計上する。なお、期末の受取手形借方残高は¥364,000、完成工事未収入金の借方残高は¥591,000、貸倒引当金の貸方残高は¥18,100である。

 

(8)退職給付引当金の当期繰入額は、本社事務員について¥14,000と現場作業員について¥21,200である。ただし、現場作業員については月次で¥1,850の退職給付引当金繰入額を毎月計上しており、当期の予定計上額と実際発生額との差額を当期の工事原価(未成工事支出金)に加減する。

 

(9)完成工事高¥1,872,500に対して0.2%の完成工事補償引当金を差額補充法で計上する。なお、完成工事補償引当金の期末残高は¥3,250である。

 

(10)販売費及び一般管理費の中に保険料¥42,000(1年分)があり、うち4か月分は未経過分である。

 

(11)未成工事支出金の期末残高は¥922,650であったが、上記の各調整を行った後、次期繰越額は¥896,545となった。残額を完成工事原価に振り替える。

 

(12)上記の決算整理事項により、税引前当期純利益¥137,600を計上した。当期の法人税、住民税及び事業税として税引前当期純利益の40%を計上する。

 

<解答と解説>

(1)

雑損失(PL借方)150 / 現金(BS借方)150

 

決算を迎えてもまだ原因不明な現金過不足は、『雑損失』『雑収入』で処理します。

 

本問の場合は、帳簿残高を減らす仕訳ですので、『雑損失』勘定で仕訳します。

 

(2)

未成工事支出金(BS借方)32,500 / 材料貯蔵品(BS借方)32,500

 

『棚卸減耗費』勘定を使って、

棚卸減耗費 32,500 / 材料貯蔵品 32,500

と仕訳してもいいのですが、本問の場合は、「工事原価に算入する」と指示がありますので、『未成工事支出金』勘定で仕訳します。

 

問題文をよく読み、精算表に記載されている勘定科目をよく見て、適切な仕訳をしましょう。

 

(3)
支払利息(PL借方)6,000 / 仮払金 9,000
前払利息(BS借方)3,000 /
仮払法人税等 28,250 / 仮払金 28,250

 

①について。

 

¥9,000 ÷ 3ヶ月 = 1ヶ月あたり¥3,000

 

なので、¥9,000のうち¥3,000は『前払利息』、残りの¥6,000は『支払利息』へと振り替えます。

 

なお、

支払利息 9,000 / 仮払金 9,000
前払利息 3,000 / 支払利息 3,000

と仕訳しても結果は同じになります。

 

また、『前払利息』は、『前払費用』で処理する場合もありますので、与えられた精算表をよく見て、適切な勘定科目を使用しましょう。

 

②について。

 

精算表に『仮払法人税等』が無い場合は、(12)で計上される『法人税、住民税及び事業税』と直接仕訳します。

 

(4)
未成工事支出金(BS借方)900 / 機械装置減価償却累計額(BS貸方)900
販売費及び一般管理費PL借方)6,300 / 備品減価償却累計額(BS貸方)6,300

 

機械装置について。

 

月次で¥4,300を計上しているということは、すでに、

 

¥4,300 × 12ヶ月 = ¥51,600 が計上されているということです。

 

実際には、¥52,500を計上するということなので、差額の¥900を追加計上します。

 

備品について。

 

減価償却費 = (期末残高-残存価額)÷耐用年数
      = ¥37,800 ÷ 6年
      = ¥6,300

 

(5)
未成工事支出金(BS借方)32,500 / 工事未払金(BS貸方)32,500

 

「完成工事に係る」ものを、『未成工事支出金』で仕訳することに、ちょっと違和感を覚えるかもしれません。

 

しかし、「完成していようがいまいが、工事に係る全ての原価は、『未成工事支出金』に集計された後、『完成工事原価』に振り替えられる。」と考えれば、すっきりするのではないでしょうか。

 

(6)
仮受金 37,500 / 完成工事未収入金(BS借方)37,500
仮受金 60,000 / 未成工事受入金(BS貸方)60,000

 

決算整理をした後は、『仮払金』『仮受金』は必ずゼロになります。

 

もし残高があったら、どこかを間違えているということですので、注意しましょう。

 

(7)
販売費及び一般管理費PL借方)250 / 貸倒引当金BS貸方)250

 

売上債権の期末残高
 = 受取手形の残高 + 完成工事未収入金の残高
 = ¥364,000 + ¥591,000 - (6)より¥37,500
 = ¥917,500

 

貸倒引当金計上額 = ¥917,500 × 2%
         = ¥18,350

 

貸倒引当金にはすでに¥18,100あって、これを¥18,350にするわけですから、差額の¥250を追加計上します。

 

(8)
販売費及び一般管理費PL借方)14,000 / 退職給付引当金BS貸方)14,000
退職給付引当金BS貸方)1,000 / 未成工事支出金(BS借方)1,000

 

本社事務員については、そのまんまです。

 

現場作業員について。

 

月次で¥1,850を計上しているということは、すでに、

 

¥1,850 × 12ヶ月 = ¥22,200 が計上されているということです。

 

実際には、¥21,200を計上するということなので、差額の¥1,000を戻し入れます。

 

(9)
未成工事支出金(BS借方)495 / 完成工事補償引当金BS貸方)495

 

完成工事補償引当金計上額 = ¥1,872,500 × 0.2%
             = ¥3,745

 

完成工事補償引当金として¥3,745を計上したい。残高は¥3,250である。

 

なので、差額の¥495を追加計上します。

 

(10)
前払保険料(BS借方)14,000 / 販売費及び一般管理費PL借方)14,000

 

『販売費及び一般管理費』のうち、4ヶ月分の保険料を『前払保険料』に振り替えます。

 

¥42,000 ÷ 12ヶ月 = 1ヶ月あたり¥3,500

 

4ヶ月分の保険料 = ¥3,500 × 4ヶ月 = ¥14,000

 

『前払保険料』は、『前払費用』で処理する場合もありますので、与えられた精算表をよく見て、適切な勘定科目を使用しましょう。

 

(11)
完成工事原価(PL借方)91,500 / 未成工事支出金(BS借方)91,500

 

未成工事支出金の借方合計
 = 期末残高¥922,650+(2)より¥32,500+(4)より¥900+(5)より¥32,500+(9)より¥495
 = ¥989,045

 

未成工事支出金の貸方合計¥989,045
 = 完成工事原価振替額 + (8)より¥1,000 + 次期繰越額¥896,545

 

完成工事原価振替額 = ¥91,500

 

(12)
法人税、住民税及び事業税(PL借方)55,040 / 仮払法人税等 28,250
                      / 未払法人税等(BS貸方)26,790

 

法人税、住民税及び事業税の計上額 = 税引前当期純利益 × 40%
                 = ¥137,600 × 40%
                 = ¥55,040

 

(3)で『仮払法人税等』を計上していない場合は、

法人税、住民税及び事業税 28,960 / 仮払金   28,250
                  / 未払法人税等 26,790

と仕訳します。

 

どちらにしても、『法人税、住民税及び事業税』と『未払法人税等』の額が変わらないことと、『仮払金』『仮払法人税等』は消えることに注意しましょう。

 

 

 

 


最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 

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