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建設業経理士2級:精算表対策その14

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今日の問題はこちら。

 

<問題>

下記の<決算整理事項>について、その仕訳を示すとともに、仕訳に使用した勘定科目のホームポジションも答えなさい。

なお、工事原価は未成工事支出金を経由して処理する方法によっており、会計期間は1年である。

 

<決算整理事項>

(1)期末における現金の帳簿残高は¥7,500であるが、実際の手許有高は¥6,000であった。原因の調査をしたところ、本社において事務用文房具¥1,000を現金購入していたが未処理であることが判明した。それ以外の原因は不明である。

 

(2)仮払金の期末残高¥22,500は、以下の内容であることが判明した。

①¥4,250は、本社従業員の出張仮払金であった。精算の結果、実費との差額¥500を従業員が立て替えていた。

②¥18,250は、法人税等の中間納付額である。

 

(3)売上債権の期末残高に対して、2%の貸倒引当金を差額補充法で計上する。なお、期末の受取手形借方残高は¥202,500、完成工事未収入金の借方残高は¥337,500、貸倒引当金の貸方残高は¥10,050である。

 

(4)仮受金の期末残高¥33,500は、以下の内容であることが判明した。

①¥26,000は、期末で施工中の工事に関する中間金である。

②¥7,500は、現場で発生したスクラップの売却代金である。

 

(5)減価償却については、以下のとおりである。なお、当期中に固定資産の増減取引は発生していない。

①機械装置(工事現場用)実際発生額¥42,000なお、月次原価計算において、月額¥3,450を未成工事支出金に予定計上しており、当期の予定計上額と実際発生額との差額は当期の工事原価(未成工事支出金)に加減する。

②備品(本社用)以下の事項により減価償却費を計上する。取得原価¥47,500、残存価額ゼロ、耐用年数 5年、減価償却方法 定額法。

 

(6)工事に関する外注費の未払分¥12,000が判明した。

 

(7)退職給付引当金の当期繰入額は、管理部門¥8,500、施工部門¥15,500である。なお、施工部門の退職給付引当金については、月次原価計算において、月額¥1,250を未成工事支出金に予定計上しており、当期の予定計上額と実際発生額との差額は当期の工事原価(未成工事支出金)に加減する。

 

(8)完成工事高¥2,125,000に対して0.2%の完成工事補償引当金を差額補充法で計上する。なお、完成工事補償引当金の期末残高は¥5,350である。

 

(9)未成工事支出金の期末残高は¥515,000であったが、上記の各調整を行った後、次期繰越額は¥514,000となった。残額を完成工事原価に振り替える。

 

(10)上記の決算整理事項により、税引前当期純利益¥60,000を計上した。当期の法人税、住民税及び事業税として税引前当期純利益の40%を計上する。

 

<解答と解説>

(1)
販売費及び一般管理費PL借方)1,000 / 現金(BS借方)1,500
雑損失(PL借方)        500 /

 

『販売費及び一般管理費』は、『消耗品費』で処理する場合もあります。

 

また、期末になっても原因不明な過不足は、『雑収入』『雑損失』で処理します。

 

本試験では、与えられた精算表をよく見て、適切な勘定科目を使用しましょう。

 

(2)
出張旅費(PL借方)4,750 / 仮払金 4,250
             / 未払金(BS貸方)500
仮払法人税等 18,250 / 仮払金 18,250

 

①について。

 

問題文より、実際に発生した出張旅費は、

¥4,250 + ¥500 = ¥4,750 であることが分かります。

 

このうち¥500については、立て替えた従業員に払ってあげないといけないのですが、まだ払っていません。

 

従って、『未払金』勘定で処理します。 

 

また、与えられた精算表に『出張旅費』が無い場合は、『販売費及び一般管理費』で処理します。

 

 

②について。

精算表に『仮払法人税等』が無い場合は、(10)で計上される『法人税、住民税及び事業税』と直接仕訳します。

 

(3)
貸倒引当金繰入額(PL借方)750 / 貸倒引当金BS貸方)750

 

売上債権の期末残高
 = 受取手形の残高 + 完成工事未収入金の残高
 = ¥202,500 + ¥337,500
 = ¥540,000

 

貸倒引当金計上額 = ¥540,000 × 2%
         = ¥10,800

 

貸倒引当金にはすでに¥10,050あって、これを¥10,800にするわけですから、差額の¥750を追加計上します。

 

なお、与えられた精算表に『貸倒引当金繰入額』がない場合は、『販売費及び一般管理費』で処理します。

 

(4)
仮受金 26,000 / 未成工事受入金(BS貸方)26,000
仮受金 7,500 / 未成工事支出金(BS借方)7,500

 

①について。

 

工事の中間金を受け取った場合は、『未成工事受入金』で処理します。

 

②について。

 

「現場で発生したスクラップ」は、元々その現場で使用された材料であったわけですから、

未成工事支出金 ○○ / 材料 ○○

という形で処理されているものです。

 

これを売却したということは、言い換えれば、『未成工事支出金』の一部を売却したということです。

 

従ってその仕訳は、

現金 ○○ / 未成工事支出金 ○○

となります。

 

本問では、代金は仮受けしていたわけですから、

仮受金 ○○ / 未成工事支出金 ○○

が正しい仕訳となります。

 

(5)
未成工事支出金(BS借方)600 / 機械装置減価償却累計額(BS貸方)600
販売費及び一般管理費PL借方)9,500 / 備品減価償却累計額(BS貸方)9,500

 

機械装置について。

 

月次で¥3,450を計上しているということは、すでに、

¥3450 × 12ヶ月 = ¥41,400 が計上されているということです。

 

実際には、¥42,000を計上するということなので、差額の¥600を追加計上します。

 

備品について。

 

減価償却費 = (期末残高-残存価額)÷耐用年数
      = ¥47,500 ÷ 5年
      = ¥9,500

 

(6)
未成工事支出金(BS借方)12,000 / 工事未払金(BS貸方)12,000

 

(7)
販売費及び一般管理費PL借方)8,500 / 退職給付引当金BS貸方)8,500
未成工事支出金(BS借方)500 / 退職給付引当金BS貸方)500

 

管理部門については、そのまんまです。

 

施工部門について。

 

月次で¥1,250を計上しているということは、すでに、

¥1,250 × 12ヶ月 = ¥15,000 が計上されているということです。

 

実際には、¥15,500を計上するということなので、差額の¥500を追加計上します。

 

(8)
完成工事補償引当金BS貸方)1,100 / 未成工事支出金(BS借方)1,100

 

完成工事補償引当金計上額 = ¥2,125,000 × 0.2%
             = ¥4,250

 

完成工事補償引当金として¥4,250を計上したい。残高は¥5,350である。

 

なので、差額の¥1,100を戻し入れます。

 

(9)
完成工事原価(PL借方)5,500 / 未成工事支出金(BS借方)5,500

 

未成工事支出金の借方合計
 = 期末残高¥515,000+(5)より¥600+(6)より¥12,000+(7)より¥500
 = ¥528,100

 

未成工事支出金の貸方合計¥528,100
 = 完成工事原価振替額+(4)より¥7,500+(8)より¥1,100+次期繰越額¥514,000

 

完成工事原価振替額 = ¥5,500

 

(10)
法人税、住民税及び事業税(PL借方)24,000 / 仮払法人税等 18,250
                      / 未払法人税等(BS貸方)5,750

 

法人税、住民税及び事業税の計上額 = 税引前当期純利益 × 40%
                 = ¥60,000 × 40%
                 = ¥24,000

 

(2)で『仮払法人税等』を計上していない場合は、

法人税、住民税及び事業税 24,000 / 仮払金     18,250
                  / 未払法人税等 5,750

と仕訳します。

 

どちらにしても、『法人税、住民税及び事業税』と『未払法人税等』の額が変わらないことと、『仮払金』『仮払法人税等』は消えることに注意しましょう。

 

 

 


最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 

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