さて。
建設業経理士2級、本試験まで、あと1ヶ月となりました。
本番までの残りの時間、どのように勉強するのがいいのでしょうか?
私がおすすめするのは、やはり「過去問」です。
このブログを見て下さっている方はもうお気づきだと思いますが、「建設業経理士2級」の試験は、毎回ほぼ同じような問題が出題されています。
もう「過去問」が、そのまま次回の「予想問題」になってると言っても過言じゃないくらいです。
ですので、「過去問」を繰り返し解き、その上で気になる所をチェックする。
私が受験した時には、過去問題集を買ってきて、3周しました。
これくらいやっておくと、ずいぶんと気持ちに余裕をもって本番に臨むことができます。
この余裕こそが、合格に不可欠な要素なんですね。
あなたの「余裕」を養うために。
を使ってくれたら、嬉しいなぁ。^^;
と、ちょっと宣伝させて頂いたところで。
今日の問題はこちら。
<問題>
下記の<決算整理事項>について、その仕訳を示すとともに、仕訳に使用した勘定科目のホームポジションも答えなさい。
なお、工事原価は未成工事支出金を経由して処理する方法によっており、会計期間は1年である。
<決算整理事項>
(1)当座預金の期末残高証明書を入手したところ、期末帳簿残高と差異があった。差額原因を調査したところ以下の内容であった。
①電話代¥1,000が引き落とされていたが、その通知は当社に未着であった。
②工事の中間金¥5,000が月末に振り込まれていたが、発注者より連絡がなかったため、当社で未記帳であった。
(2)仮払金は、以下の内容であった。
①¥6,000は保険料の1年分である。なお、期末時で11か月分が前払である。
②¥46,500は法人税等の中間納付額である。
(3)売上債権の期末残高に対して、2%の貸倒引当金を差額補充法で計上する。なお、期末の受取手形借方残高は¥187,500、完成工事未収入金の借方残高は¥372,500、貸倒引当金の貸方残高は¥13,550である。
(4)建設仮勘定¥12,500のうち¥7,500は工事用機械の購入に係るものであり、引き渡しを受けたので適切な勘定に振り替える。ただし、同機械は翌期首から使用するものである。
(5)減価償却については、以下のとおりである。
①機械装置(工事現場用)実際発生額¥7,300なお、月次原価計算において、月額¥600を未成工事支出金に予定計上している。当期の予定計上額と実際発生額との差額は当期の工事原価(未成工事支出金)に加減する。
②備品(本社用)以下の事項により減価償却費を計上する。取得原価¥32,000、残存価額ゼロ、耐用年数 8年、償却率 0.250、減価償却方法 定率法。なお、備品減価償却累計額の期末残高は¥14,000である。
(6)外注工事費¥3,750が記入漏れであった。なお、期末時点でその代金は未払いである。
(7)退職給付引当金の当期繰入額は、管理部門¥3,950、施工部門¥7,500である。なお、施工部門の退職給付引当金については、月次原価計算において、月額¥650を未成工事支出金に予定計上しており、当期の予定計上額と実際発生額との差額は当期の工事原価(未成工事支出金)に加減する。
(8)完成工事高¥1,450,000に対して0.1%の完成工事補償引当金を差額補充法で計上する。なお、完成工事補償引当金の期末残高は¥1,700である。
(9)未成工事支出金の期末残高は¥476,000であったが、上記の各調整を行った後、次期繰越額は¥478,300となった。残額を完成工事原価に振り替える。
(10)上記の決算整理事項により、税引前当期純利益¥131,000を計上した。当期の法人税、住民税及び事業税として税引前当期純利益の40%を計上する。
<解答と解説>
(1)
通信費(PL借方)1,000 / 当座預金(BS借方)1,000
当座預金(BS借方)5,000 / 未成工事受入金(BS貸方)5,000
『通信費』が清算表にない場合は、『販売費及び一般管理費』で処理します。
(2)
支払保険料(PL借方) 500 / 仮払金 6,000
前払保険料(BS借方)5,500 /
仮払法人税等 46,500 / 仮払金 46,500
①について。
¥6,000 ÷ 12ヶ月 = 1ヶ月あたり¥500
従って、¥500を『支払保険料』に、残りを『前払保険料』に振り替えます。
但し、精算表にある勘定科目によっては、
『支払保険料』は『販売費及び一般管理費』で、
『前払保険料』は『前払費用』で、
それぞれ処理する場合もありますので、注意してください。
②について。
精算表に『仮払法人税等』が無い場合は、(10)で計上される『法人税、住民税及び事業税』と直接仕訳します。
(3)
貸倒引当金(BS貸方)2,350 / 貸倒引当金戻入額(PL貸方)2,350
売上債権の期末残高
= 受取手形の残高 + 完成工事未収入金の残高
= ¥187,500 + ¥372,500
= ¥560,000
貸倒引当金計上額 = ¥560,000 × 2%
= ¥11,200
貸倒引当金にはすでに¥13,550あって、これを¥11,200にするわけですから、差額の¥2,350を戻し入れます。
(4)
機械装置(BS借方)7,500 / 建設仮勘定(BS借方)7,500
基本的に、決算整理をすることによって、「仮」の字がつく勘定科目はゼロになりますが、『建設仮勘定』は例外です。
請け負った工事が完成するまでの間、その原価を集計しておくのが『未成工事支出金』。
完成後は自社の資産となるものが完成するまでの間、その原価を集計しておくのが『建設仮勘定』。
『未成工事支出金』は、工事が完成したら『完成工事原価』に振り替えます。
『建設仮勘定』は、対象が完成したら、適切な勘定科目に振り替えます。
(5)
未成工事支出金(BS借方)100 / 機械装置減価償却累計額(BS貸方)100
販売費及び一般管理費(PL借方)4,500 / 備品減価償却累計額(BS貸方)4,500
機械装置について。
月次で¥600を計上しているということは、すでに、
¥600 × 12ヶ月 = ¥7,200 が計上されているということです。
実際には、¥7,300を計上するということなので、差額の¥100を追加計上します。
備品について。
減価償却費 = (取得原価-原価償却累計額)×償却率
= (¥32,000-¥14,000)×0.25
= ¥4,500
(6)
未成工事支出金(BS借方)3,750 / 工事未払金(BS貸方)3,750
(7)
販売費及び一般管理費(PL借方)3,950 / 退職給付引当金(BS貸方)3,950
退職給付引当金(BS貸方)300 / 未成工事支出金(BS借方)300
管理部門については、そのまんまです。
施工部門について。
月次で¥650を計上しているということは、すでに、
¥650 × 12ヶ月 = ¥7,800 が計上されているということです。
実際には、¥7,500を計上するということなので、差額の¥300を戻し入れます。
(8)
完成工事補償引当金(BS貸方)250 / 未成工事支出金(BS借方)250
完成工事補償引当金計上額 = ¥1,450,000 × 0.2%
= ¥1,450
完成工事補償引当金として¥1,450を計上したい。残高は¥1,700である。
なので、差額の¥250を戻し入れます。
(9)
完成工事原価(PL借方)1,000 / 未成工事支出金(BS借方)1,000
未成工事支出金の借方合計
= 期末残高¥476,000+(5)より¥100+(6)より¥3,750
= ¥479,850
未成工事支出金の貸方合計¥479,850
= 完成工事原価振替額+(7)より¥300+(8)より¥250+次期繰越額¥478,300
完成工事原価振替額 = ¥1,000
(10)
法人税、住民税及び事業税(PL借方)52,400 / 仮払法人税等 46,500
/ 未払法人税等(BS貸方)5,900
法人税、住民税及び事業税の計上額 = 税引前当期純利益 × 40%
= ¥131,000 × 40%
= ¥52,400
(2)で『仮払法人税等』を計上していない場合は、
法人税、住民税及び事業税 52,400 / 仮払金 46,500
/ 未払法人税等 5,900
と仕訳します。
どちらにしても、『法人税、住民税及び事業税』と『未払法人税等』の額が変わらないことと、『仮払金』『仮払法人税等』は消えることに注意しましょう。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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