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建設業経理士2級:原価計算の理論の巻その2

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さて、昨日に続いて今回は、タイプBの攻略法から綴ってまいります。

 

昨日の記事をお読みでない方は、サラッと見ておいてください。

 

タイプBの攻略法

タイプBは、「原価の定義」を問う問題です。

 

営業活動によって発生した費用のうち、どこからどこまでが「原価」となるのかは、「原価計算基準」によって定義されています。

 

原価計算基準の全文はこちらから。

 

この「原価計算基準」本文の一部が、穴埋め形式で出題されることがあります。

 

建設業経理士2級の試験では、第10回と第22回において出題されているのですが、どちらも「原価計算基準」の中の「三 原価の本質」と題された文章から出題されています。

 

ポイントをしっかり押さえておきましょう。

 

三 原価の本質


原価計算制度において、原価とは、経営における一定の給付にかかわらせて、は握された財貨又は用役(以下これを「財貨」という。)の消費を、貨幣価値的に表わしたものである。


(一) 原価は、経済価値の消費である。経営の活動は、一定の財貨を生産し販売することを目的とし、一定の財貨を作り出すために、必要な財貨すなわち経済価値を消費する過程である。原価とは、かかる経営過程における価値の消費を意味する。

 

(二)原価は、経営において作り出された一定の給付に転嫁される価値であり、その給付にかかわらせて、は握されたものである。ここに給付とは、経営が作り出す財貨をいい、それは経営の最終給付のみでなく、中間的給付をも意味する。


(三)原価は、経営目的に関連したものである。経営の目的は、一定の財貨を生産し販売することにあり、経営過程は、このための価値の消費と生成の過程である。原価は、かかる財貨の生産、販売に関して消費された経済価値であり、経営目的に関連しない価値の消費を含まない。財務活動は、財貨の生成および消費の過程たる経営過程以外の、資本の調達、返還、利益処分等の活動であり、したがってこれに関する費用たるいわゆる財務費用は、原則として原価を構成しない。


(四)原価は、正常的なものである。原価は、正常な状態のもとにおける経営活動を前提として、は握された価値の消費であり、異常な状態を原因とする価値の減少を含まない。

 

太字の部分が穴埋め問題にされやすい部分です。

 

他の部分が出題されることも十分考えられますので、「原価計算基準」は、是非一度、読んでおくといいでしょう。

 

タイプBの例題

原価計算基準における原価の本質について述べた以下の文章の、(  )内に当てはまる語句を答えなさい。

 

・原価は、( ① )の消費である。
・原価は、経営において作り出された( ② )に転嫁される価値である。
・原価は、( ③ )に関連したものである。
・原価は、( ④ )なものである。

 

<解答>
① 経済価値  ② 一定の給付  ③ 経営目的  ④ 正常的

 


タイプCの攻略法

タイプCは、「原価の区分」を問う問題です。

 

ある事柄について、それが、

  • 工事原価として処理するものなのか
  • 総原価に含まれるが、期間費用(ピリオド・コスト)として処理するものなのか
  • 非原価項目として処理するものなのか

を答える問題です。

 

これについても「原価計算基準」に明記されているのですが、建設業経理士2級において覚えるべきポイントは、

  • 工事原価として処理するもの
    ・『未成工事支出金』勘定に集計されるもの
    ・工事に関わる費用
  • 総原価に含まれるが、期間費用(ピリオド・コスト)として処理するもの
    ・『販売費及び一般管理費』勘定に集計されるもの
    ・工事以外の営業等に関わる費用
  • 非原価項目として処理するもの
    ・工事、営業等の経営目的に関連しないもの
    ・災害や盗難等の異常な原因によるもの

という区別です。

 

過去18回の試験中、5回も出題されているところなので、繰り返し問題を解き、慣れておくようにしましょう。

 

タイプCの例題

次に述べる費用あるいは損失は、A~Cのいずれの区分に該当するものか答えなさい。

 

<区分>
A:工事原価として処理する
B:総原価に含まれるが、期間費用(ピリオド・コスト)として処理する
C:非原価項目として処理するものなのか

 

① 入札のための資料作成にかかる費用
② 工事現場で使用される機械装置の損耗額
③ 工事現場での台風被害による喪失額
④ 工事現場に搬入された資材の運搬費

 

<解答>
① B  ② A  ③ C  ④ A


タイプDの攻略法

タイプDは、「原価の基礎的分類基準」を問う問題です。

 

「原価の基礎的分類」には、以下のようなものがあります。

  • 発生形態別分類
  • 作業機能別分類
  • 計算対象との関連性分類
  • 操業度との関連性分類

タイプDは、与えられた事柄が、この分類のどれと関係深いかを答える問題です。

 

それぞれを見分けるポイントは、次のとおり。

 

  • 材料費、労務費、外注費、経費とくれば、「発生形態別分類」
  • 工種別に・・・とくれば、「作業機能別分類」
  • 直接費、間接費とくれば、「計算対象との関連性分類」
  • 固定費、変動費とくれば、「操業度との関連性分類」

 

各分類についての詳細は「原価計算基準」に記載されていますが、それよりも、ここは機械的に覚えてしまった方がいいと思います。

 

タイプDの例題

次の文章は、A~Dのいずれの分類に該当するものか答えなさい。

 

A:発生形態別分類
B:作業機能別分類
C:計算対象との関連性分類
D:操業度との関連性分類

 

① 建設業においては、工事直接費と工事間接費に分けて計算するのが基本である。
② 建設業では、外注費が多く発生するという特徴がある。
③ 一般的に建設業においては、工種別に原価を把握することが有益である。
④ 工事の出来高によって変動する原価を変動費といい、固定費とは区別する。

 

<解答>
① C  ② A  ③ B  ④ D


タイプEの攻略法

タイプEは、ある事柄について、原価計算制度であるか、特殊原価調査であるかを問う問題です。

 

原価計算基準」において、「原価計算制度」について次のように定義されています。

 

原価計算制度は、財務会計機構のらち外において随時断片的に行なわれる原価の統計的、技術的計算ないし調査ではなくて財務会計機構と有機的に結びつき常時継続的に行なわれる計算体系である。

 

「特殊原価調査」とは、「原価計算制度」の逆だと思えば分かりやすいと思います。

つまり、この引用の下線部が、そのまま「特殊原価調査」のことなのです。

 

簡単に言えば、与えられた文章が、

 

  • 過去または現在の事柄についての支出を言っている → 原価計算制度
  • 未来の事柄についての支出を言っている → 特殊原価調査

 

と判断すればいいでしょう。

 

タイプEの例題

次に述べる文章は、(A)原価計算制度であるか、(B)特殊原価調査であるか答えなさい。

 

① 複数の工事現場にかかる費用について、予定配賦による原価計算をしている。
② 工事現場で使用する機械装置について、買い替えの検討資料を作成した。
③ ある現場作業について、外注する際の意思決定資料を作成した。
④ 施工中の工事について、期末に総工事原価の算定を行った。

 

<解答>
① A  ② B  ③ B  ④ A

 

 


長くなりましたが、最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 

 

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