建設業経理士2級:よくある仕訳問題その10
このシリーズも今回で10回目になりました。
今回含めて50問出題したわけですが、どれも合格するためには落とせないものばかりです。
確実に正解できるようにしておきましょう。
<問題1:約束手形の裏書譲渡>
資材¥500,000を購入し、自社倉庫に搬入した。
代金のうち¥270,000は、かねて保有していた他人振出の約束手形を裏書譲渡し、残額は翌月に支払うこととした。
なお、遡求義務については対照勘定を用いるものとする。
<解答>
材料 500,000 / 受取手形 270,000
/ 工事未払金 230,000
手形裏書義務見返 270,000 / 手形裏書義務 270,000
<解説>
まず、資材を購入し倉庫に搬入したので、
材料 500,000 /
他人振出の約束手形を渡したということは、以前に受け取った約束手形『受取手形』を渡したということなので、
材料 500,000 / 受取手形 270,000
残額は翌月払いなので、
材料 500,000 / 受取手形 270,000
/ 工事未払金 230,000
遡求義務については対照勘定を用いるとのことなので、
材料 500,000 / 受取手形 270,000
/ 工事未払金 230,000
手形裏書義務見返 270,000 / 手形裏書義務 270,000
となります。
また、資材の搬入先が 倉庫 の場合 → 『材料』勘定
工事現場 の場合 → 『材料費』勘定
遡求義務について評価勘定を用いるなら、
材料 500,000 / 裏書手形 270,000
/ 工事未払金 230,000
となります。
<問題2:差入有価証券>
長期保有目的で購入していた有価証券(簿価¥2,000,000)を担保に差し入れ、取引銀行から¥1,500,000を借り入れた。
これにより、利息¥15,000を差し引かれた残額が当座預金に振り込まれた。
担保を差し入れた事実と合わせて仕訳を示しなさい。
<解答>
当座預金 1,485,000 / 借入金 1,500,000
支払利息 15,000 /
差入有価証券 2,000,000 / 投資有価証券 2,000,000
<解説>
「長期保有目的で購入していた有価証券」は、『投資有価証券』ですね。
これを差し入れたということなので、
差入有価証券 2,000,000 / 投資有価証券 2,000,000
あとは、
銀行から借り入れた → 『借入金』(負債)の増加
利息を差し引かれた → 『支払利息』(費用)の発生
当座預金に振り込まれた → 『当座預金』(資産)の増加
となります。
<問題3:火災による損益>
前期に自社倉庫(取得価額¥2,000,000、建物減価償却累計額¥800,000)が焼失し、『火災未決算』勘定にて処理している。
これについて保険会社より、保険金¥1,300,000が支払われる旨の連絡を受けた。
<解答>
未収入金 1,300,000 / 火災未決算 1,200,000
/ 保険差益 100,000
<解説>
建物焼失時の仕訳は次のようになります。
建物減価償却累計額 800,000 / 建物 2,000,000
火災未決算 1,200,000 /
本問は、この『火災未決算』勘定を消す仕訳になります。
保険金はまだ受け取っていないので、『未収入金』勘定で処理します。
未決算¥1,200,000に対して、¥1,300,000支払われるので、差額¥100,000の収益が発生しています。
<問題4:社債の端数利息>
11月30日に、額面総額¥2,000,000の社債(償還期間5年、利率年0.2%、利払日は3月31日と9月30日の年2回)を額面¥100につき¥97で買い入れた。
この代金は、端数利息とともに小切手を振り出して支払った。
なお、計算過程で端数が生じた場合は、小数点以下を切り捨てるものとする。
<解答>
投資有価証券 1,940,000 / 当座預金 1,940,668
有価証券利息 668 /
<解説>
まず、端数利息を計算します。
端数利息 = 年利の61日分(10月1日から11月30日までの61日)
= 2,000,000 × 0.2% × (61/365)
= 668
社債を買ったからといって、『社債』勘定が増えたりしないことに注意してください。
『社債』勘定は、負債系統の勘定科目です。
また、『端数利息』という勘定科目はありません。
『有価証券利息』勘定で処理します。
<問題5:未払金?工事未払金?>
工事用に新たに掘削機を購入した。
その代金¥500,000は翌月払いとし、引取運賃¥2,000については現金で支払った。
<解答>
機械装置 502,000 / 未払金 500,000
/ 現金 2,000
<解説>
付随費用は取得原価に含めます。
未払金について、
この機械装置は、特定の工事だけに使用されるものではないので、備品等の固定資産と同じ扱いとなるため、『未払金』勘定で処理します。
もし、「101号工事に係る特別な作業のために、特殊な機械装置を購入した」などということであれば、『工事未払金』勘定で処理します。
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