さて、昨日の記事で勘定科目の5つの種類についてお話させていただきました。
今日のテーマは「取引の8要素」と「貸借平均の原理」です。
言葉はなんだか難しそうですが、超簡単なので、サクッとまいりましょう。
取引の8要素とは?
簿記では、全ての取引を「勘定科目」を使って記録します。
その「勘定科目」には、5つの種類があります。
資産、負債、純資産(資本)、費用、収益、この5つですね。
そしてそれぞれ、増えた(発生した)、減った(消滅した)状態があるわけですから、結局のところ簿記の取引は、
①資産が増えた ②資産が減った
③負債が増えた ④負債が減った
⑤純資産(資本)が増えた ⑥純資産(資本)が減った
⑦費用が発生した ⑧費用が消滅した
⑨収益が発生した ⑩収益が消滅した
この10パターンの組み合わせで表現できることになります。
このうち、⑧費用の消滅と、⑩収益の消滅はほとんど発生しませんので、この2つを除いた残りの8つを、「取引の8要素」と呼ぶのです。
はい。簡単でしたね!
取引の8要素と、その結合関係。
上で述べた8つの要素は、仕訳のときにペアとなれるかどうかが決まっています。
昨日の記事で書いたホームポジションを思い出してください。
図の実践で結ばれた関係が、よくある関係です。
点線は、あまりないですが、たまに出てくる関係です。
線で結ばれていない関係は、発生しません。
この図から、例えば、「費用の発生と、収益の発生が、同時におきることはない。」ということが分かります。
<例題>
商品100円を売り上げ、現金で受け取ったその代金で、通信費を支払った。
この取引の仕訳を示しなさい。
なお、商品の売買については三分法で仕訳するものとする。
<解答>
現金 100 / 売上 100
通信費 100 / 現金 100
<解説>
三分法で仕訳しますので、商品を売り上げたら、『売上』という勘定科目を使います。
『売上』は収益に属する勘定科目ですので、「費用の発生」とは直接結びつきません。
ですので、「売り上げで通信費を支払った」からといって、
通信費 100 / 売上 100
と仕訳するのは間違いです。
この問題の場合は、
- 商品100円を売り上げ、代金を現金で受け取った。
現金 100 / 売上 100
資産の増加 と 収益の発生 の結合関係
- 現金で、通信費を支払った。
通信費 100 / 現金 100
費用の発生 と 資産の減少 の結合関係
と2つに分解して考えるのが正解です。
貸借平均の原理
これはもっと簡単です。
仕訳をした際、借方の合計と、貸方の合計は必ず一致する。
これが、「貸借平均の原理」です。
逆に言えば、これが一致していないと、その仕訳が間違っているということですね。
<例題>
商品100円を仕入れ、運賃10円とともに現金で支払った。
この取引の仕訳を示しなさい。
なお、三分法で仕訳するものとする。
<解答>
仕入 110 / 現金 110
<解説>
100円の商品を仕入れたのだからと、
仕入 100 / 現金 110
としたのでは、貸借の合計が一致しませんので、間違いです。
仕入れにともなう運賃は仕入額に含めますので、『仕入』も110円とします。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。