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建設業経理士2級:精算表対策その12

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今日の問題はこちら。

 

<問題>

下記の<決算整理事項>について、その仕訳を示すとともに、仕訳に使用した勘定科目のホームポジションも答えなさい。

なお、工事原価は未成工事支出金を経由して処理する方法によっており、会計期間は1年である。

 

<決算整理事項>

(1)売上債権の期末残高に対して、2%の貸倒引当金を差額補充法で計上する。なお、期末の受取手形借方残高は¥157,500、完成工事未収入金の借方残高は¥487,500、貸倒引当金の貸方残高は¥12,150である。

 

(2)売買目的で保有する有価証券¥19,000の期末時価は¥16,000である。

 

(3)仮払金の期末残高¥47,800は、以下の内容であることが判明した。

①¥1,800は保険料の1年分であり、うち8か月分は前払いである。

②¥46,000は法人税等の中間納付額である。

 

(4)仮設材料費の把握についてはすくい出し方式を採用しているが、工事が完了して倉庫に戻された仮設材料の評価額¥1,700について未処理である。

 

(5)減価償却については、以下のとおりである。なお、当期中に固定資産の増減取引は発生していない。

①車両運搬具(工事現場用)実際発生額¥9,800なお、月次原価計算において、月額¥750を未成工事支出金に予定計上しており、当期の予定計上額と実際発生額との差額は当期の工事原価(未成工事支出金)に加減する。

②建物(本社)以下の事項により減価償却費を計上する。取得原価¥487,500、残存価額は取得原価の10%、耐用年数27年、減価償却方 法定額法。

 

(6)工事現場の駐車場代金¥1,250が未払いである。

 

(7)退職給付引当金の当期繰入額は、管理部門について¥4,750と施工部門について¥7,400である。ただし、施工部門の退職給付引当金については、月次で¥650の退職給付引当金繰入額を毎月計上しており、当期の予定計上額と実際発生額との差額を当期の工事原価(未成工事支出金)に加減する。

 

(8)完成工事高¥2,425,000に対して0.2%の完成工事補償引当金を差額補充法で計上する。なお、完成工事補償引当金の期末残高は¥4,100である。

 

(9)未成工事支出金の期末残高は¥226,000であったが、上記の各調整を行った後、次期繰越額は¥222,500となった。残額を完成工事原価に振り替える。

 

(10)上記の決算整理事項により、税引前当期純利益¥185,000を計上した。当期の法人税、住民税及び事業税として税引前当期純利益の40%を計上する。

 

<解答と解説>

(1)
貸倒引当金繰入額(PL借方)750 / 貸倒引当金BS貸方)750

 

売上債権の期末残高
 = 受取手形の残高 + 完成工事未収入金の残高
 = ¥157,500 + ¥487,500
 = ¥645,000

 

貸倒引当金計上額 = ¥645,000 × 2%
         = ¥12,900

 

貸倒引当金にはすでに¥12,150あって、これを¥12,900にするわけですから、差額の¥750を追加計上します。

 

なお、『貸倒引当金繰入額』は、『販売費及び一般管理費』で処理する場合もあります。

与えられた精算表をよく見て、適切な勘定科目を使用しましょう。

 

(2)
有価証券評価損(PL借方)3,000 / 有価証券(BS借方)3,000

 

¥19,000の価値があった有価証券が、¥16,000になってしまった。
ということで、差額の¥3,000、評価損を計上します。

 

(3)
支払保険料(PL借方) 600 / 仮払金 1,800
前払保険料(BS借方)1,200 /
仮払法人税等 46,000 / 仮払金 46,000

 

①について。

 

¥1,800 ÷ 12ヶ月 = 1ヶ月あたり¥150

 

なので、¥1,800のうち¥1,200は『前払保険料』、残りの¥600は『支払保険料』へと振り替えます。

 

なお、

支払保険料 1,800 / 仮払金 1,800
前払保険料 1,200 / 支払保険料 1,200

と仕訳しても結果は同じになります。

 

また、『支払保険料』は『販売費及び一般管理費』で、『前払保険料』は『前払費用』で、それぞれ処理する場合もあります。

本試験では、与えられた精算表をよく見て、適切な勘定科目を使用しましょう。

 

②について。

 

精算表に『仮払法人税等』が無い場合は、(10)で計上される『法人税、住民税及び事業税』と直接仕訳します。

 

(4)
材料貯蔵品(BS借方)1,700 / 未成工事支出金(BS借方)1,700

 

「すくい出し方式を採用」ということは、一旦全ての『材料貯蔵品』を『未成工事支出金』に振り替えておいて、後から消費されずに残った分を『未成工事支出金』から『材料貯蔵品』に振り替えるということです。

 

(5)
未成工事支出金(BS借方)800 / 車両運搬具減価償却累計額(BS貸方)800
販売費及び一般管理費PL借方)16,250 / 建物減価償却累計額(BS貸方)16,250

 

車両運搬具について。

 

月次で¥750を計上しているということは、すでに、

 

¥750 × 12ヶ月 = ¥9,000 が計上されているということです。

 

実際には、¥9,800を計上するということなので、差額の¥800を追加計上します。

 

建物について。

 

減価償却費 = (期末残高-残存価額)÷耐用年数
      = (¥487,500-¥48,750) ÷ 27年
      = ¥16,250

 

(6)
未成工事支出金(BS借方)1,250 / 工事未払金(BS貸方)1,250

 

直接工事に関わる支出なので、『未成工事支出金』、『工事未払金』で処理します。

 

(7)
販売費及び一般管理費PL借方)4,750 / 退職給付引当金BS貸方)4,750
退職給付引当金BS貸方)400 / 未成工事支出金(BS借方)400

 

管理部門については、そのまんまです。

 

施工部門について。

 

月次で¥650を計上しているということは、すでに、

 

¥650 × 12ヶ月 = ¥7,800 が計上されているということです。

 

実際には、¥7,400を計上するということなので、差額の¥400を戻し入れます。

 

(8)
未成工事支出金(BS借方)750 / 完成工事補償引当金BS貸方)750

 

完成工事補償引当金計上額 = ¥2,425,000 × 0.2%
             = ¥4,850

 

完成工事補償引当金として¥4,850を計上したい。残高は¥4,100である。

 

なので、差額の¥750を追加計上します。

 

(9)
完成工事原価(PL借方)4,200 / 未成工事支出金(BS借方)4,200

 

未成工事支出金の借方合計
 = 期末残高¥226,000+(5)より¥800+(6)より¥1,250+(8)より¥750
 = ¥228,800

 

未成工事支出金の貸方合計¥228,800
 = 完成工事原価振替額+(4)より¥1,700+(7)より¥400+次期繰越額¥222,500

 

完成工事原価振替額 = ¥4,200

 

(10)
法人税、住民税及び事業税(PL借方)74,000 / 仮払法人税等 46,000
                      / 未払法人税等(BS貸方)28,000

 

法人税、住民税及び事業税の計上額 = 税引前当期純利益 × 40%
                 = ¥185,000 × 40%
                 = ¥74,000

 

(3)で『仮払法人税等』を計上していない場合は、

 

法人税、住民税及び事業税 74,000 / 仮払金    46,000
                  / 未払法人税等 28,000

 

と仕訳します。

 

どちらにしても、『法人税、住民税及び事業税』と『未払法人税等』の額が変わらないことと、『仮払金』『仮払法人税等』は消えることに注意しましょう。

 

 

 

 


最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 

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